第231章 怨恨ゆえに

一条昴の胸が、ぎゅっと締め付けられた。

北畑修の声は低く沈み、押し殺したような苦痛を帯びていた。

「あの時……俺はあの人を恨んだ。あの人が今の地位にいなければ、あんなに敵を作らなければ、母さんは死なずに済んだんじゃないかと思って……。あの人を許せなかったし、束縛と危険に満ちたあの家とも、もう向き合えなかったんだ」

「だから俺はY国を離れた。この二年間……一度も戻らなかった」

短い言葉だった。だが一条昴には、そこに込められた重苦しい痛み、やるせなさ、そして葛藤が痛いほど伝わってきた。

異国の地でたった一人、母を失った悲しみと父への恨みを抱え、身分を隠して一般人として生きる親友の姿……...

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